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令和2年度学位授与式 学長式辞

お知らせ

殊の外厳しかった今年の冬 その寒さも緩む 弥生3月。
本日 晴れて学位を授与されたみなさん、おめでとうございます。東北工業大学を代表して、心よりお祝いを申し上げます。
本日の学部卒業生は、工学部およびライフデザイン学部で742名。大学院博士前期および後期課程の修了生は17名。卒業生、修了生の合計は759名であります。卒業生、修了生のみなさんは、これまでさまざまな困難を克服し、ご家族をはじめとする周囲の方のご協力のもとに、本日の栄えある学位授与式を迎えることができました。特に昨年は、新型コロナウイルス感染症の猛威が世界を襲い、卒業および修了までのこの一年間は、いつも以上の努力が必要だったことでしょう。お祝いとともに、乗り越えることができたみなさんのその努力に敬意を表します。

コロナ禍がいまだ終息に至っていない状況にあり、宮城県と仙台市から独自の緊急事態宣言が出されましたが、みなさんの門出の式典でる学位授与式は最大限の感染防止策を施すことで、分割および分散して実施することとなりました。みなさんをご支援され、励ましてくださったご家族をはじめとする、別会場でこの学位授与式にご参加のみなさまにも、心からお慶びを申し上げます。

さて本学は、『わが国、特に東北地方の産業界で指導的役割を担う高度な技術者を養成する』という建学の精神をもって1964年に創設されました。すでに半世紀を過ぎ、これまで37,200名の卒業生、修了生を輩出してきており、皆さんを加えますと約38,000名となります。みなさんが本学に入学したのは、2017年およびそれ以前ですので、東日本大震災後の地域の復興を志して入学された方も多いと思いますが、本学卒業生、修了生は、各地の復興に大きく貢献しておりますし、東北地方のみならず国の内外において、地域を支え、社会に寄与しており、本学の建学の精神が、広く、そして着実に具現化されていることを想い、卒業生、修了生を大いに誇りに感じております。

さて、本学は、建学の精神と教育の理念を端的に表わすために、大学のスローガンを短いことばで表現しております。それが「創造から統合へ仙台からの発進」というスローガンです。これは本学共通の合言葉となっております。
卒業、修了にあたり、改めてこのスローガンの意味を確認することで、本学から発進するみなさんへのはなむけにしたいと思います。
「創造」とは、新たに作ること、新しいものを造りだすことという意味です。みなさんが学んできた学問は、工学やライフデザイン学ですが、学問、技術、製品、デザイン、環境、様式、そして豊かさや若い人材が育つことなど、造りだされるものは大きくひろがっています。新型コロナウイルスのような新しい課題を乗り越えることも、創造力に因るものと考えています。

そして「統合」とは、社会や人々の役に立つということであり、貢献するということですので、「創造から統合へ」というのは、創造されたものを社会に役立てるということ、世界の人々、人類に貢献するということを本学のスローガンとしています。
本日みなさんは、これまでの卒業生、修了生と同様に、本学の教育環境において、在学中に、創造および統合する能力を備え、専門家としての必要な素地と、人間力を蓄えたことで、大きく成長できたものと信じております。
そして本日みなさんはそれぞれの分野に関する学位を授与されました。
本学で身に付けた創造力、統合力を備え、それぞれの学位に見合う専門能力の証としての学位です。自分自身の課題を考えるとき、専門的な観点と、社会の人々の視点も取り入れること、その解決がどのような社会的意義を持つことになるか、人類にどのように役立つか、という視点も大切にしてきたと思います。
これからみなさんが歩む社会では、技術の発展はもとより、価値観の相違に戸惑ったり、10年前の東日本大震災や気候変動のもたらす多くの自然災害、そしてウイルスによるパンデミックなど予期しない新たな課題にも遭遇すると思いますが、みなさんが身に付けた 創造力および統合力に自信を持って臨んでいただきたいと思います。
そしてそれらの能力を、大学時代に成長できたように、経験を重ねることで、年齢とともに磨いていくことを期待しております。
この東北工業大学が位置する仙台の地で成長し、仙台から発進するみなさんの新しいこれからの人生が大きく拓かれ、そして豊かでありますことを祈念して、式辞といたします。

令和3年3月19日 東北工業大学 学長 今野 弘