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学長室

学長メッセージ集

No.12令和5年度 学位授与式 式辞

2024.03.19

 学部生そして大学院生の皆さん、ご卒業・修了おめでとうございます。
 令和5年度は、工学部、建築学部、ライフデザイン学部の卒業生735名、大学院工学研究科およびライフデザイン学研究科の博士前期課程を修了する大学院生28名、総計は763名です。特に建築学部については、初めての卒業生となります。誠におめでとうございます。
 またご家族など関係の皆さま、今日の佳き日をお迎えになられましたことを、心よりお祝い申し上げます。久しぶりに制限なく、ご家族など関係の皆様を会場にお迎えして学位授与式を挙行出来ますことを、大変嬉しく思います。心よりお祝い申し上げます。
 思えば学部卒業生の多くの皆さんは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大最初期2020年4月に入学されました。全員揃っての入学式を開催することができず、講義についても急遽オンライン開講となり、学生諸君も教職員も大変な苦労を強いられました。皆さんのなかには、意気揚々、仙台での一人暮らしを始めたものの、新たな友人との出会いを制限されたり、かと言って実家に帰ろうとしてもご家族の都合で帰れなかったり、また逆に、徐々に対面授業に戻す際には、登校したくてもご家族の都合でなかなか大学に来られなかったりと、つらい思いをされていた方もいらっしゃいました。
 それを乗り越えつつある今、改めて振り返ってみますと、オンライン授業はその後、教室での講義に戻ってもその録画が通常のこととなり、皆さんの日常の復習に活用されるようになりました。2021年度はじめに、皆さんを改めて歓迎するため開催した「PRIDE OF SECOND YEAR,CAMPUS OPEN DAY」も、その後毎年の恒例行事になりました。オンライン講義に関する率直な意見を学生から聞くために開催した会合も、いまや講義だけでなく大学運営に関しても意見を頂戴する学生FSD研修会として定例化しました。つまり、コロナ禍という困難にまずは対処しながらも、それを冷静に振り返りながら取り組みを改善し、より良い取り組みとして定着させるという、学修システムの再構築を私たち(学生・教職員)は成し遂げたのです。
 このような、見えない答えを探して試行錯誤しながら自己点検評価し、最適解をカタチにしていくような物事の取り組み方は、現代では標準的な手法ではありますが、既存の組織、特に大学という一種保守的な組織で、かつコロナ禍という未曽有の状況下で変革を成し遂げたことは極めて特筆すべき成果であり、私たちはこれを誇ってよいことと考えています。さらに時機を同じくして、本学は新しいブランドスローガン策定の議論を行い、それを「未来のエスキースを描く。」に定めました。エスキースには構想を素描するという意味がありますが、言い換えれば“私たちの意志をカタチにする”ことです。本学は失敗を恐れず挑戦し続ける姿勢を大切にし、そしてオープンでフレンドリーな本学の雰囲気をエスキースという言葉に込めています。
 皆さんは、本学で培った専門知識とスキルを社会で活かすことになります。もちろん、まずは実社会で仕事を覚えることが最優先課題となるでしょう。しかし皆さんが、いずれ未来を構築し担っていくのです。未来のエスキースを描いたうえで、その構想を実現していくことが求められます。東北工業大学は、建学の精神を「わが国、特に東北地方の産業界で指導的役割を担う高度の技術者を養成する」と定めています。創立以来、59年の歴史を有し、約4万人もの卒業生を輩出しています。卒業生・修了生の各地・各分野での活躍と社会貢献が、社会より極めて高く評価されていることを、皆さんもご承知のことと思います。その評価は、本学での学びを基盤として、先輩方の弛まぬご努力が継続されての結果であります。本日卒業・修了される皆さんも、東北工業大学で学んだことを誇りにし、先輩方が築き上げた社会からの信頼を継承し、より良き社会を築く一員になられることを期待します。

 以上、皆さんの卒業・修了にあたっての、学長挨拶とします。

令和6年3月19日
東北工業大学 学長 渡邉 浩文