東北工業大学

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学長室

学長メッセージ集

No.17令和8年度 入学式 式辞

2026.04.03

 工学部・建築学部・ライフデザイン学部へ入学されたみなさん、そして大学院へ進学・入学された皆さん、ご入学おめでとうございます。また親御さんをはじめ本日ご参列の皆さま、誠におめでとうございます。大学を代表しまして、心よりお祝い申し上げます。
 令和8年度は、学部学生835名、大学院博士前期課程52名、総計887名の入学生を迎えることができました。我々、教職員一同は、皆さんと共に新しく学びや研究を始められることを、たいへん嬉しく思い、皆さんと同様とてもワクワクしています。
 東北工業大学は、「わが国、特に東北地方の産業界で指導的役割を担う高度の技術者を養成する」という「建学の精神」のもと、1964年に開学しました。当時は、日本の高度成長期にあって、社会のみならず人々の生き方までが大きく変化した時代でした。その変革期の産業構造を支えたのが半導体、すなわち電子工学の技術であり、本学は、そんな当時の最先端の学問であった「電子工学」と、現在の情報通信技術の基盤となる「通信工学」を学ぶことのできる2学科からスタートしました。東北の地で高度成長を先頭に立ってけん引するエンジニアを養成することを目的に、地域産業界の大きな期待を受けて開設され、その後工学部の拡充、ライフデザイン学部、建築学部の設置を経て、現在の3学部4課程、4学科体制になりました。創立から62年を経て、これまでに約4万人の卒業生・修了生を輩出し、OB・OGは、東北地方はもとより全国、さらに世界で活躍しています。そして時代はいまAI・Iot・ロボットが成長分野として社会経済をけん引し、社会基盤としてその実装が進んでいます。「超スマート社会」と呼ばれる社会への移行の、まさにその真っただ中にあり、日々の技術革新は目まぐるしく、62年前本学が開学した当時と同じような、新しい技術への期待とともに社会基盤の大転換が起きています。なかでもAI技術の急速な進展は、エンジニアやデザイナーをはじめいずれの専門分野においても、伝統的な学問に加えて、AIでは代替することのできない、人にしかない能力の重要性をあらわにしました。「何を知っているか」という知識の量が重視されるのではなく、知識をどう活用して何ができるか、すなわち「解決すべき課題は何か」との問いを立て、それを解決に導くための思考力とその実践力が問われます。専門の基礎知識をベースにしながら論理的に物事を考え、と同時にときに「ひらめき」といったような不連続な飛躍を伴いつつ思考することができる能力が求められています。大学は、多様な価値観をもった人々の中でその感性を鍛え養う場です。昨年度からスタートした工学部の「課程制」やライフデザイン学部の「副専攻制」も、分野横断の学びの中でそのような力を養うことをその目的の一つとしています。そして大学では、カリキュラムとして用意された学びだけではなく、課外活動をはじめ、人と人との協働の中で得られることすべてを統合し、人生の礎となる人格形成を図ります。一方で、情報通信技術を背景とした「超スマート社会」への移行という社会のありようの大きな変化と同時に、社会のとらえ方も大きく変わりつつあります。地球温暖化に象徴される環境問題は、地球や資源が有限であることを人類に突き付け、社会はどこまでも「拡大と成長」が可能という近代の産業革命以降の考え方の矛盾や限界が露呈しています。
 本学は大学の理念を、「人間・環境を重視した豊かな生活のための学問を創造し、それらの統合を目指すことにより持続可能な社会の発展に寄与する」と定めています。そこでは、自然は克服するものではなく、自然の一部に人間が存在するという、人と環境との協調の中で人々のくらしに寄り添う、人間中心の学問や技術を創造するという大学の姿勢を示しています。
そしてそれを実現するための教育方針として「専門家として必要な素地、調和のとれた人格、優れた創造力と実行力を備えた人材の育成」を掲げています。専門家としての知識・技能はもちろんですが、協調と相互扶助の精神に基づく豊かな人間性に裏打ちされた創造性と実行力、そして何事にも熱意をもって主体的に挑戦する力を育む教育を実践しています。ここでいう相互扶助とは、自己中心の「利己的」に対する「利他的」、つまり他を利するという精神であり、それが人間・環境中心の新しい社会の実現にとって最も重要な姿勢といえます。さて、大学の「知」の源泉は研究です。本学の研究は、工学、建築学、ライフデザイン学のそれぞれの分野で、最先端科学や独創的創作、社会課題や地域課題を解決する研究まで、多彩であり特色にあふれています。本学が将来ビジョンとして掲げる「東北地方に位置する最も魅力ある工科系私立大学」にふさわしく、個性的で独創的な研究は教育に生かされており、教員は学生のみなさんの多様な個性の中から、特異な能力を見出し、そしてそれを伸ばします。たとえ高校までの勉強で苦手な科目があったとしても、それは研究の面白さの中で克服することができるような魅力的な研究に出会えます。これから始まる大学での学びにおいて、皆さんに期待することは、主体的かつ自律的な学びです。大学の学部4年間、大学院の修士課程の2年間、または博士課程の5年間は、皆さん自身の将来を見据えた「自己実現の場」です。「なりたい自分」が描けている人はそれを追求し、模索中の人は徹底的に模索して人生の設計図を描いてください。そこでは何よりも、自らを律し主体的に学ぶ姿勢とその継続力が求められます。これは外から与えられるものではありません。大学生活が始まる今日の決意と意気込みを、皆さん自身の主体的な姿勢につなげてください。大学生となる18歳前後のこの時期は、生活環境や習慣も変わり、周りも皆さんを一人の大人の人格として扱います。大学生は人生のターニングポイントです。卒業するまでには、これまで想像もしなかった新しい自分を見出し、卒業時には自身の成長を実感できるはずです。皆さんを成長させるのは、勉強だけに限りません。部活、サークル活動、ボランティア、友人との付き合いなど、楽しく、愉快に、はつらつと、人生で最も自由で可能性にあふれたこの時期を、「自分を見つける」人生のきっかけづくりの場にしてください。我々、教職員は、皆さんと共に学びを創り進める「学びのファシリテーター」でありたいと考えています。ファシリテーターとは皆さんの学びのモチベーションを引き出し、学びを対話的にサポートする役割、すなわち皆さんの「自己実現」に全力で寄り添い、ともに学ぶ伴走者です。
 本学が掲げるブランドスローガン「未来のエスキースを描く。」は、まさにそのように試行錯誤をしながら成長する皆さんの姿勢と、それに寄り添いながら成長を促す教職員の意思と決意を象徴しています。人生100年の礎となるこの学生生活を謳歌し、共に未来の暮らしのエスキースを描きましょう。きょうのこの入学式を、そのスタート地点として、この景色をしっかりと心に留めておきましょう。本日ご参列のご家族のみなさんも、ご子息ご息女の4年後の成長に期待していてください。大いなる可能性を秘めた新入生のみなさんへの激励を込めて、以上学長式辞といたします。

令和8年4月3日
東北工業大学 学長 小林 正樹