東北工業大学

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学長室

学長メッセージ集

No.12平成25年度 学位記授与式 式辞

2014.03.20

春まだ浅き弥生3月。

本日、ここに保護者の皆さま、後援会、同窓会の役員の代表を始め、本校と緊密な関係のあるご来賓のご臨席をいただき、平成25年度学位記授与式を挙行することになりました。東北工業大学の教職員を代表し、心からお祝い申し上げますと共に、ご参列の皆さま方に対し、深く御礼を申し上げます。

本日卒業いたします学生は、工学部428名、ライフデザイン学部196名、合計624名。大学院博士(前期)課程修了生は、工学研究科24名、ライフデザイン学研究科3名、合計27名。卒業・修了者合計は651名であります。保護者の皆さまや、卒業・修了生の諸君は、勉学上の問題や周囲の種々の困難を克服して、本日の栄えある学位記授与式にまでこぎつけられました。皆さんは、本学教職員の喜びをはるかに越える大きな喜びの中にあることを思い、心からお祝い申し上げます。

この4月から実社会に巣立っていく諸君と大学院へ進学する諸君は良き先輩にならい、東北工業大学の卒業生、あるいは大学院修了生としての誇りを持ち、大きな目標と大きな夢を持って歩んでいただきたいと思います。諸君がどんな環境の中でも夢と希望を持ち続けるならば、いかなる困難も克服できるはずです。

学部学生の諸君が本学に入学しましたのは2010年、わが国は民主党に政権交代し、円高が進み、失業率は最悪レベル、日本航空までが政府管理下に置かれる時期でありました。そのような環境の中で、諸君は大きな夢を持ち、それを着実に実現すると同時に、達成感とある時は挫折感を繰り返しながらも希望を持ち、知識を獲得し、課外活動、ボランティア活動、アルバイトなどを行い、多くの人生経験をし、大学生活を有意義に送ってきたものと思います。

本学はその建学の精神として、『わが国、特に東北地方の産業界で指導的役割を担う高度な技術者を養成すること』とし、1964年に創立され、本年で50周年を迎えることになります。専門家として必要な素地、調和のとれた人格、優れた創造力と実行力を備えた人材の育成を教育目標とし、具体的なカリキュラムに沿って教育活動が行われて参りました。皆さんは入学時とは比較にならない程、多くの知識を得、人間的の面においても大きな成長をされたものと私は信じております。

日進月歩の勢いで技術は進歩しております。諸君の学んだ知識が役立つのはそれほど長くは続かないかもしれません。しかしながら、諸君は本学で工学あるいはライフデザイン学に関する知識を得ただけではなく、広く応用可能な最も基本的な知識と知識を得る方法を学んだはずです。このことは、これから当面する課題への挑戦、諸君に用意されている仕事、研究活動などに大きな推進力となるものと思います。

現在、日本社会においては長いデフレ時代から脱却し、アベノミクス効果が一部の企業であっても、日本の経済状況は明るい方向に向かうかのように見えます。しかし先行きは必ずしも楽観できる状況ではありません。技術の面でも、社会環境の面でも、大きな変革という海の中に諸君は投げ込まれます。東日本大震災の復興はまだまだです。そして世の中は想像もできないような速さで変化していきます。そのような中にあっても、私は若い諸君の前途に大きな期待を持っています。それはこのような変化の中にこそ大きなチャンスがあり、難しい課題を克服する喜びがあるからです。自分自身の可能性を信じ、人のため、世の中を良くするために、愚直なまでに、誠実で、正直で、真面目で、謙虚な人間になってください。そして自分自身が最も輝く、オンリーワンの生き方をしてください。

最後に、私は二つのことをお話しし、式辞を閉じたいと思います。 一つは本来ならば皆さんと一緒に学位記授与式に出席するであろう、宍戸 詩織(建築学科)さんと寺島 佳祐(クリエイティブデザイン学科)さんについてです。お二人は東日本大震災による津波の犠牲となりこの席にいらっしゃらないということです。本人の無念さ、保護者・ご家族の悲しみの心中を推察しますと、本当に残念でなりません。

もう一つは嬉しいニュースで、本学の理事長である岩崎俊一先生が文化勲章と米国のベンジャミン・フランクリン・メダルのダブル受賞を受けたことです。このような受賞の時に東北工業大学に籍を置いた皆さんも教職員も、日本人のほとんど誰もが経験できないことを味わったことです。そしてまた、皆さんは岩崎先生から直接に現代科学総論の講義を受けたことは貴重な経験だったと思います。

最後になりますが、諸君に愛情を持って接した教職員、喜び、悲しみ、寂しさをともに過ごした東北工業大学を忘れないでいただきたいことを願い、はなむけの言葉といたします。

卒業、修了、おめでとうございます。

2014年3月20日  東北工業大学 学長 宮城光信