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学長室

学長メッセージ集

No.12013年度入学式式辞(2013.4.3)

2013.04.03

入学式式辞

庭の水仙やクロッカスが咲き始めたとは云え、春の日差しの暖かさにはまだ遠い春4月。
本日ここに、新入生を迎え、ご来賓の方々、ならびに保護者の皆様と共に、東北工業大学・同大学院の平成25年度入学式を行うことが出来ますことを、心から感謝致します。

この度、晴れて入学の日を迎えられた新入生は、工学部456名、ライフデザイン学部193名、合計649名。大学院工学研究科及びライフデザイン研究科博士前期課程20名、博士後期課程2名、合計22名。学部生、大学院生を合わせ671名であります。希望あふれる多くの若い皆さんを迎えることが出来ましたのは、本学にとりまして大きな喜びであり、教職員一同、皆さんの入学を心から歓迎いたします。本学の教職員を代表してお祝い申し上げます。入学生の皆さん、保護者の皆様、本当におめでとうございます。新入生の皆さん一人一人は、将来に夢を描き、大きな目標を抱きながらこの入学式に臨んでいることと思います。皆さんの夢や目標が達せられるよう、努力することを切に願っています。そのために私たち教職員も皆さんを全力で支えていきたいと思います。

東北工業大学では、ビッグデータに代表されるコンピュータメモリ様式を完全に変えた岩崎理事長の垂直磁気記録の研究を始め、震災復興に貢献するための実践活動、様々な優れた研究活動を行っておりますし、とりわけ他大学に対しても誇ることのできる教育熱心なスタッフを多数擁しております。皆さんは本学で学ぶ過程で、教職員の力をも借り、自分を大きく伸ばすことができると信じております。

本学の理念は、人間・環境を重視した、豊かな生活のための学問を創造し、それらの統合を目指す教育・研究により、持続可能な社会の発展に寄与することであります。そして教育方針として、専門家として必要な素地を備え、調和のとれた人格を持ち、優れた創造力と実行力を備えた人材の育成を掲げております。この目的のもとに、さらに細かな教育目標をあげ、その目標を達成するためのカリキュラムを備えております。ですから、新入生の皆さんもこの学校の掲げた目標を達成できるよう、目的に向かって忍耐強く努力していただきたいと思いますし、保護者の皆さんのご協力・励ましもどうぞ宜しくお願いいたします。

皆さんのような若い人々の知恵と技術力は、3.11震災で大きく壊された町々、混迷し先の見えにくい今日の日本、あるいは世界には強く求められております。皆さんの若さが将来を切り拓くものです。知の拠点としての大学で、皆さんは知識と知恵を身につけるようになりたいものです。教えられたことを単に覚えるだけではなく、自立し、自分の頭で納得するまで、あせらず、あわてず、あきらめずに考える時間を作る、それが皆さんに与えられている大学生活です。ある人が、No Study, No Life ! といいました。No Study, No Life ! です。学ばなければ、真の人生はない、ということです。是非、この言葉を記憶に留めていただきたい、と思います。

皆さんの人生は自分のためにだけあるのではありません。皆さんの人生は人のためにもあるのです。こちらの方がむしろ大事で、大きな意味があるといった方がいいでしょう。そしてまた、皆さんは社会から大きな期待がかけられています。その期待に応えられるよう、努力して下さい。次世代を担う人材として、専門の学問の基礎を習得するだけでなく、専門分野を越えた領域、新しい知識・技術を開発する能力も養いましょう。そのためには関連分野の学問や、人文・社会科学、自然科学、外国語などを「自ら進んで、深く学ぶ習慣」を身につけたいものです。

高度化し、複雑化した社会においては設計者・技術者の役割は近年、益々重要になっております。皆さんは社会の仕組みを変える原動力になっています。車、航空機、TV、パソコン、携帯電話、インターネットは全て技術者が考え出したものです。これによって、社会の仕組み、人間の考え方が大きく変化しました。しかしながら多くのものがブラックボックスになっています。中身の分かるのは設計者・技術者だけになっています。また、科学・技術の進展は人間社会に大きな貢献をしたことは間違いはありません。しかし私たちは科学・技術を万能なものと思ってもいけません。真理、自然に対する畏敬の念ももたなければならないのです。皆さんが身を持って経験した3.11は正にそのことを私たちに示したものです。

このような状況の中で、一番大事なことは人間のモラル、道徳心です。大学生活は知識・知恵の獲得の時であると同時に、人間形成の時でもあります。人間形成とは何でしょうか? それは愛と奉仕の実践を習得することです。一人の人間として、人の弱さや痛みを理解し、その人達に知恵と、技術と、誠意で暖かい手を差し伸べることの出来る「人間性豊かな人間」になることです。

東北工業大学は1964年に東北地方の工業発展に貢献することを目的に創立され、49年の歴史を持つ伝統ある大学です。皆さんは今その一員となりました。皆さんの先輩は地域を支え、地域で世界で活躍しています。皆さんは東北の地、仙台で学びます。そして地元東北に残って働き、東北で起業しない限り、東北の産業、東北の文化、東北の発展はありえません。これからの日本は一極集中から地方分散へその体制を確実に変化していきます。

「東北工業大学卒業生は素直で、真面目で、忍耐強い」という評価を私は多くの人から聞いています。また、「東北工大卒は何にでも挑戦する」ということも聞いております。皆さんはそのような先輩の後に続くことが期待されています。「東北工業大学に入ってよかった」、そしてまた、「地域に貢献する東北工業大学こそ、わが青春」という意識を強くしてこれからの学園生活を過ごそうではありませんか。

平成25年4月3日
東北工業大学学長 宮城光信