チェコ通信 Vol.5
Extra.05 小出 英夫(都市マネジメント学科)
仙台ではそれ程まだ寒さは厳しく無いことと思いますが、こちらBrno(北緯約50度)では、先週頃から氷点下を記録する毎日、日中でも5度以下となる気候です。長期海外研修先決定の際、寒さが苦手な静岡市育ちの私が事前に見逃していた恐怖の毎日が徐々に近づいて来ました。しかしながら、仙台の冬と異なり風は無く常に乾燥しており、子供の頃、親戚のお茶屋さんの大型冷蔵室の中で楽しく遊んだ思い出と重なり、何とか耐えられそうな感触を得ているところです。室内はどこも完全に暖房されていることも安心・快適に思える理由かもしれません。多くの学生は、コートの下は半袖を着ている状況です。
10月30日(日曜日)の午前3時、時計が午前2時に1時間だけ一旦逆戻りし、それまでの夏時間が終了、日本との時差が7時間から8時間へと変わりました。1時間時刻がずれましたが、それでも朝8時はまだ薄暗く、逆に夕方4時にはもう暗くなり、クリスマス(チェコ語で Vánoce)に向かい昼間が日に日に短くなっているところです。
このような中、初雪の降った日の朝、すぐに雪が融けたこともあり、キャンパス内では寒さをもろともせず、我ら土木工学部の学生達は元気に「測量実習」をしていました。
一転して、暑い(熱い)話題です。チェコ通信Vol.1にて「スポーツday」開催でお伝えした土木工学部の郊外の大型実験施設センター「AdMaS」(Advanced Materials, Structures and Technologies)にて、火災時の各種コンクリートの性状を研究するための実験が、先日行われました。実験内容は簡単に言えばコンクリートを焼くだけなのですが、実構造物の一部にそれなりに近い大きさのコンクリートを、安全にかつ実験条件を工学的に制御した上で、各種データを取得しながら燃焼し続けるには、かなり特殊で高価な実験用装置が必要となります。
実験では、長さ2.5m、幅1.5m、厚さ20cm程度のコンクリート床版の下面を、1000℃の一定温度で長時間燃焼させ、各種データを取得しました。約1.7tのコンクリートが燃焼によってひび割れ、反り返って変形している様子がわかると思います。
AdMaSでは、「スポーツday」に続くイベント、「グラーシュ(Guláš)大会」も先日開催されました。グラーシュとは、ハンガリー生まれで中欧諸国やドイツ等の家庭料理として有名な、肉煮込み料理(シチューに近い)です。この大会では、AdMaSに関係する各研究グループが屋外にてそれぞれ大きな鍋でグラーシュを作り、お互いに試食し、参加者の投票で順位が決まり表彰されます。地方や家庭ごと料理方法、味付け、使用する肉の種類等が異なり、それぞれが秘伝の中身の良くわからない調味料を持ち込むなどして、いろいろなグラーシュが味わえてとても楽しい一日でした。なお、私達の構造力学学科チームは惜しくも2位でした。
前回のチェコ通信Vol.4 にて「狂言」の紹介をしましたが、他に日本文化でかなり浸透しているものに「ORIGAMI」(折り紙)があります。言葉としても、「ORIGAMI」で誰にでも通じます。主に女性の趣味として一般に浸透しているようですが、ここは「構造」が専門の学科でもあることから、「ORIGAMI」の構造に興味を示す男性教員も多く、その作品が、学科の事務室前に大きく展示されています。
まだまだ書きたいことはありますが、今回もここまでとします。
なお、最後に、何となくシリーズ化された気配がありますが、我々が専門とする土木技術の粋である「橋」の紹介をしたいと思います。
チェコ滞在も残り約2か月になってしまいました。チェコの橋と言えば、やはり首都プラハ、ヴルタヴァ川(ドイツ語名:モルダウ川)の「カレル橋」です。1402年に完成した、長さ約500mの石橋です。現在は歩行者専用となっています。背景の丘上に見えるのがプラハ城です。
橋だけが土木ではありませんが、土木技術(都市マネジメント学科で学ぶ土木工学)の壮大なスケール感、そして社会に与える影響(貢献度)を感じてもらえるとうれしいです。
では。
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以上
小出 英夫 教授
研究分野:廃棄物のコンクリート材料への適用に関する研究
廃コンクリートの再利用で省資源の都市整備へ
都市の構築に不可欠な材料に関する実験をしています。役目が終わったコンクリート構造物や、コンクリート塊を新たな材料として再利用する実験など、省資源・省エネルギーなどに関わる研究を行っています。