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※教員の所属・役職及び学生の学部・学科・学年は取材当時のものです。

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チェコ通信 Vol.3

Extra.03 小出 英夫(都市マネジメント学科)

仙台を離れ、約80日が経過しました。今年の仙台七夕まつりはどうでしたか? 毎年恒例の一番町ロビー近くに飾られる本学の七夕飾りを今年は見ることができずに残念です。

前回のチェコ通信Vol.2では卒業のための学部最終試験の様子をお伝えしましたが、それをクリアした学生たちが、その後、6月末に卒業していきました。卒業式は学部ごと実施され、さらに1回ではなく、卒業が確定した人達から早く、学科単位、もしくは学科不問で名前の順番で毎回20~30人ごとにグループ分けられ、1日数回、約1週間にわたりほぼ毎日実施されていました。その都度、その卒業生の家族・親戚・友人・恋人達が式に来場し、見学席は満員、立見も含めて150~200人になります。主役の卒業生は、正面壇上に立った状態で卒業式は進行します。

 

卒業式の式中の様子

(壇上中央に着席しているのが学部長)

この卒業式の前後に急増するのが、学生自身の名前を書いた道上への「落書き」です。博士(Ph.D.)はもちろんですが、大学院修士課程(マスターコース)の卒業生の社会的な地位も大変高く、卒業生はその学位取得を記念して、「Ing. 名前」の表記を特に大学周辺に残していきます。博士課程の学生に尋ねたところ、「一応、違法なので自分はやらなかったが、マスターコース修了時、友人は皆、夜中にスプレーを持って書きに行っていた。」と笑いながら話してくれました。ちなみに、「Ing.」とは、理系のマスターコース修了者に対する肩書です。文系の場合は、これが「Mgr.」となり、私の寮近くのマサリク大学の文系学部周辺の道には「Mgr. 名前」の落書きが沢山見られます。

 

大学学生食堂入口前の落書き

(日に日に増えて色も鮮やかに)

ところで、7月中旬に予定されていた私の研究講演会が、7月に入り海外から多数の研究者が世界中からこの学科を訪れることもあり、それらの先生の講演と同時開催にしましょうということで2回ほど延期になり、やっと、無事25日に開催されました。が、その都度、「延期すみません。でもそのかわり講演時間は長くしますから」と言われ、講演内容に対して要求されるハードルが否応なしに高くなっていき、結果、準備にかなりの時間を要することとなりました。20名以上の学科の先生方や博士課程の学生(Ph.D. student)の参加があり、約90分の私の話を聴講してくれました。夏休み期間中ということもあり、子供を連れての参加もありました。こちらでは、女性の秘書の方も含めて、時々、職場に子供を連れて来ます。そして、大学の食堂で子供も含めて同僚と一緒に食事をしたり、社会性を身につけさせているのかなとも感じます。

 

私の講演会の開催案内(関係者にメール配信、また学科内数か所に掲示されました)

 

講演会開始時の様子(学科長のNovák教授による開催挨拶)

 

私の講演中の様子

 

余談ですが、チェコだけではないと思いますが、チェコ語の文法(世界一難解とも言われているらしいです)として、名詞には男性名詞や女性名詞等があり、名前の「姓(surname)」に関しては、女性の場合、男性の姓(父または夫)の姓の最後に“vá(バ)”がついて、必ず「○○○バ」という女性名詞の姓になります。オリンピックも始まりますが、特にスポーツなどの東欧(現中欧含む)の女性選手の名前で「○○○バ」という響きをよく耳にすると思いますが、たぶん、このチェコ語の文法と同じで、女性であることを表しているのだと思います。このルールを知ってから、初めの頃より、人の名前と性別を覚えやすくなりました。

話を私の講演会に戻しますが、講演の最後に、これまでにチェコ国内で目にした日本の企業名、製品名、ブランド名や話題になった言葉を以下のようにスライドで紹介しました。自動車メーカーを最初に書いてはいますが、チェコ産のŠkoda(シェコダ:VWグループ)と韓国車に圧倒的なシェアがあり、日本車はとても少ないです。家庭用電気製品も同様で、日本製品は高級品の扱いでありあまり見かけません。このあたりの話題は、あらためてお伝えしたいと思っています。

 

滞在2か月間でBrnoで見聞きした日本の企業名他(残念ながら「福島」は誰でも知っています)

 

ところで、先日の休日、隣国スロバキア共和国の首都ブラチスラヴァ(Bratislava)に行ってきました(ウィーン同様、Brnoから列車で僅か2時間程度です)。不勉強ながら、首都であることをこれまで知りませんでしたが、実は毎日の通勤時に通る道路の標識(チェコ通信Vol.1の「大学と寮との中間にある通勤途中の交差点」の写真参照)にしっかりと、PRAHA(英語名:Prague)、WIEN(英語名:Vienna)とともに示されていました。今までBrnoを紹介するとき、「チェコとオーストリアのそれぞれの首都に近い都市」と伝えてきましたが、「スロバキアの首都にも非常に近い」こともこれからはPRしていきたいと思います。

まだまだ書きたいことはありますが、今回もここまでとします。

なお、最後に、そのスロバキアの首都ブラチスラヴァの中心地を流れるドナウ川にかかる「ブラチスラヴァ橋」の写真を掲載します。非対称の形状で、主塔の上には観光用の展望台もあります。

高校生の皆さん、都市マネジメント学科で土木工学を学び、将来、このような橋の計画、設計、施工等に関わる技術者なってみたいとは思いませんか?

では。

 

ブラチスラヴァ橋(ウィーンから乗船したドナウ川クルーズの観光客にとって、ブラチスラヴァ到着の目印)

以上

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小出 英夫 教授

研究分野:廃棄物のコンクリート材料への適用に関する研究

廃コンクリートの再利用で省資源の都市整備へ
都市の構築に不可欠な材料に関する実験をしています。役目が終わったコンクリート構造物や、コンクリート塊を新たな材料として再利用する実験など、省資源・省エネルギーなどに関わる研究を行っています。

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