工学部 情報通信工学科/通信系
中川 朋子 研究室
太陽系空間の電磁環境を明らかにする
太陽系空間は真空ではなく、太陽から噴き出す「太陽風プラズマ」が秒速500kmという高速で地球や惑星、衛星に吹き付け、オーロラや地磁気嵐の原因となっています。月周回衛星「かぐや」、磁気圏探査衛星「ジオテイル」「あらせ」などのデータを解析し、太陽風の磁場構造や、月との相互作用、人工衛星観測への影響などについて研究しています。

学位
理学博士 東京大学1990年
略歴
1990年4月 - 1992年3月 | 日本学術振興会特別研究員(宇宙科学研究所) |
---|---|
1992年5月 - 1993年3月 | 東北工業大学 工学部 通信工学科 助手 |
1993年5月 - 1995年3月 | 東北工業大学 工学部 通信工学科 講師 |
1995年4月 - 2009年3月 | 東北工業大学 工学部 通信工学科(情報通信工学科) 助教授(准教授) |
2009年4月 - 現在 | 東北工業大学 工学部 情報通信工学科 教授 |
研究分野
宇宙科学 (太陽系プラズマ物理学)
担当科目
- 解析Ⅰ
- 解析Ⅱ及び同演習
- 解析Ⅲ
研究室所属学生の卒業研修(論文/設計/制作)
- 人工衛星「あらせ」の衛星電位が電場観測に与える影響
- 女川で見られる磁場変動 Pc1 の伝播ルート
- 衛星かぐやが月の裏側で観測したELF帯磁場変動の発見
-月の裏側に回り込んだ太陽風粒子との関係-
業績
さきがけ磁場データベースを作成
ハレー彗星探査機「さきがけ」の磁場データを整備し宇宙科学研究所に提出、一般公開できるようにした。
著書
Chapter 17: ULF/ELF waves in the near-Moon space
“Low-Frequency Waves in Space Plasmas”(宇宙プラズマの低周波波動)の17章「月近傍の宇宙空間の超低周波・極端低周波の波動
論文
Electromagnetic ion cyclotron waves detected by Kaguya and Geotail in the Earth’s magnetotail
かぐや衛星とジオテイル衛星によって地球磁気圏尾部で検出された電磁的イオンサイクロトロン波について報告し、発生機構を解明した。
Large-amplitude monochromatic ULF waves detected by Kaguya at the moon
かぐや衛星によって検出された月周辺の大振幅の低周波波動について、月面で反射した太陽風粒子が月の周辺に大振幅の超低周波磁気流体波をたてている機構を解明した。
Electromagnetic full particle simulation of the electric field structure around the moon and the lunar wake
月とそのウェイク周辺の電場構造の電磁全粒子法シミュレーションについて、太陽風が月面に吸着することによる月の帯電と周辺の電場の発生、ウェイクの形成を再現した。
受賞
地球電磁気・地球惑星圏学会 田中舘賞
「太陽風の磁場構造及び人工衛星・小型天体との相互作用に関する研究」 Studies on solar wind magnetic structure and the interaction of small bodies with ambient plasma
研究テーマ
太陽風磁場の3次元構造の解析
通常とは異なる磁場構造を持った太陽風は、宇宙空間と太陽表面をつなぐ重要な鍵であり、地球磁気圏への影響も大きい。人工衛星、惑星探査機の観測に基づき、その磁場構造を解析している。
太陽風と非磁化天体との相互作用の研究
近年、非磁化天体と太陽風プラズマ・磁気圏プラズマとの相互作用が注目を集めている。中でも、濃い大気を持たない月や小惑星、人工衛星などは、太陽風プラズマのような外部からのプラズマに直接さらされているため、固有磁場によって守られている地球とは違った形の相互作用が起きている。そこに起こる様々な現象を解明している。