開催場所：

東北電力ビル7階

出席者：

黒川利雄氏（東北大学学長）
的場幸雄氏（東北大学工学部長）
永井健三氏（東北大学附属電気通信研究所長）
宮城音五郎氏（東北大学名誉教授）
猪狩武氏（東北電波学校長）
川井善蔵氏（宮城県中学校長協会会長）
三浦義男氏（宮城県知事）
島野武氏（仙台市長）
堀豁氏（東北電力社長）
内ケ崎贇五郎氏（元東北電力社長）
井沢平勝氏（七十七銀行頭取）
一力次郎氏（河北新報社社長）
八木久兵衛氏（紅久社長）
佐々木孝三郎氏（東北放送社長）
川上行蔵氏（NHK仙台中央放送局長）
好川得太郎氏（東北電波監理局長）
落合岩男氏（東北電気通局長）
宮本武夫氏（郵政互助会会長）
藤牧直氏（郵政互助会東北地方審議会会長）
中村権一氏（郵政互助会東北地方審議会副会長）
鈴木善幸氏（郵政大臣）

宮本武夫氏は旧制第二高等学校、東京帝国大学卒業後、1928年、逓信省に入り、1955年には郵政事務次官に任じ、1956年退官後、直ちに財団法人郵政互助会会長となった。極めて温厚、情にあつく、明朗さも人を惹きつけるものがあった。東北電子学院創設の発起人会に際しては、仙台育ち、旧制二高出身という人脈を大いに生かし、設立発起人には幅広い分野の人が名前を連ねている。

資金繰りの関係で、大学設置は一時中断していたが、教職員、保護者から強い設置の運動があったこと、日本人の手による技術開発の必要性が痛感され、科学技術者の大量養成が必要となった国情から判断し、理事会は大学設置を決定した。建設資金は郵政互助会に1億6千万円の寄付を依頼、更に1億4千万円を郵政互助会に借り入れを依頼している。更に紅久株式会社所有の1万坪を坪当たり5千円の限度で買収することを決定した。

1883年8月3日、埼玉県熊谷市に生まれる。1908年7月、東京帝国大学工科大学機械科卒業、翌年の1909年8月に仙台高等工業学校教授、1919年5月に東北帝国大学工学部初代教授に就任している。第2代（1921.4.5-1923.4.4）・第9代（1934.7.16-1945.3.31）に工学部長を務め、1945年4月、東北帝国大学名誉教授となる。定年退官後、1945年3月、宮城県仙台第一中学校（後の宮城県仙台第一高等学校）校長、1947年4月宮城県仙台第一高等学校長を務めた。また、宮城県地方労働委員会会長、宮城県教育委員会委員長、そして1952年10月-1956年10月には宮城県知事を務めた。1960年12月には学校法人東北電子学院理事、東北電子工業高等学校（現仙台城南高等学校）校長に就任している。学長就任時は８０歳。大学設立に際しては、当時、最速の特別急行列車（特急）でも片道4時間にも及ぶ東京―仙台間を、文部省との交渉のために多数回往復された。学長就任後は、学生と学問を愛され、水を得た魚のように、新設大学の発展と充実のために尽くした。なお、東北電子工業高等学校の第2代目の宇野量介校長は宮城音五郎先生の仙台一中時代の教頭であり、宮城音五郎先生から大きな影響を受けている。宇野量介の著書「犬棒録」（仙台一高「じっかい」出版会、1980.1.20発行）には、宮城音五郎先生の墨蹟として「恩はよろしく淡より濃なるべし。濃を先にして、のち淡なれば、人はその恵みを忘る。威はよろしく厳よりして寛なるべし。寛を先にして、のち厳なれば、人はその酷なるを怨む」とあり、指導者たるものの心がけを示している。

学長：

宮城音五郎氏

教授：

吉田賢杭氏（倫理学・文学）、柴田倫之助氏（化学）

助教授：

佐々木養二氏（法学）、松本和良氏（社会学）、矢部威氏（数学）、酒井倫夫氏（英語）
加藤晋輔氏（無線、テレビジョン工学）、大友信一氏（国語）

電子工学科及び通信工学科のカリキュラムは、東北大学工学部電子工学科の和田正信教授の指導の下に作成された。ディスプレイがブラウン管しかなかった頃から、和田教授は電子写真や電子コピーに興味を持たれ研究していた。1968年に RCA社のHeilmeier氏が液晶ディスプレイの発表をした折、大変な興味を持たれた。しかし、その後RCAは液晶に否定的になって研究や事業化を中止し始め、米国・日本もLEDを使った英数字の開発に主体を移して行った。当時、内田瀧男氏（現東北大学名誉教授）は大学院で液晶の研究を始め、将来を目指してカラー化の研究を進めた。1980年に液晶に関する国際会議が京都で行われることになった時、和田教授は組織委員長として準備に当たっていたが、開催の半年前の1月に逝去した。内田氏はその後、液晶ディスプレイのフルカラー化を実現し、今日の情報化社会システムの発展に貢献しているが、その基を造られたのが和田正信教授であった。

大学での今後の学科設置、その他各種学校との相違を明確にする等を考慮して法人の名称を変更するもので、提出先の文部省の当時の文部大臣は仙台出身の愛知揆一氏であった。

当初の計画では、電子工学科、通信工学科の2学科で、5年目には大学院を増併置するという方針であったが、経営の観点から、学科設置が必要と理事会が判断した。宮城学長は機械工学の権威で精密機械工学科の設置を主張したが、設備費が建築学科は機械工学科の3分の1となるとの決定的理由で、機械工学科の設置は後日にすることとした。

設立要旨は、「学園規模の拡大に伴い、学校経営の補助活動としての事業を進めるために、法人出資の会社を設立し、教職員、学生に対する福利厚生の充実を図るとともに、学校用品等の調達を通じて東北工業大学に寄与、貢献する」とされており、具体的な事業としては売店、食堂の経営と株式会社である商社としての特性を生かし、建設途上にある東北工業大学の用度品等の調達を、より効果的な流通機構を介して低廉な価格で納入できるようにすることであった。

（一）みちのくの蔵王の山を
見(み)はるかす　この高原(たかはら)よ
八木山に　樹(た)てる学舎(まなびや)　
来(き)たれ　若人(わこうど)
ゆるがざる　固(かた)き礎(いしずえ)
東北工業大学

（二）東(ひんがし)の海はてしなく
青春の力は　湧きて
常(つね)若く　幸(さち)を讃(たた)えん
歌え　若人
美しき　夢をはぐくむ
東北工業大学

（三）嵐にも　褪(あ)せぬ緑よ
露霜(つゆじも)に　耐えてゆくべし
ひたすらに　道を求めて
学べ　若人
たくましく　未来を拓(ひら)く
東北工業大学

（四）今ここに　心新(こころあたら)し
もろともに　努めはげまん
空翔(か)けて　虹(にじ)の彼方に
立てよ　若人
輝ける　歴史を築く
東北工業大学

アンテナ研究の権威である内田英成学長は工学部長時代から既存の大学教育に多くの改革を行った。それは「人間性豊かなエンジニアを育成する」という、基本的な考えによるものであった。教育課程を大巾に整理縮減し、木曜日の午後は通常の授業を行わないことにし、教員と学生のための解放の時間とし、教員と学生の接触を十分とることを推奨した。

（一）若き生命（いのち）　力は燃えて
いまここに　我等はひとつよ
雲を蹴り　天駆けよ
滾（たぎ）る血潮の　ほとばしりもて
工大　工大　東北工大

（二）湧き出でて　みなぎる力
鍛えたる　堅き闘魂
ひたぶるに　栄光の
勝利求めて　たたかい止まぬ
工大　工大　東北工大

（三）若き生命（いのち）　力こぞりて
つらぬかむ　制覇の扉
声高く　ことほがむ
空をどよもす　歓喜の歌を
工大　工大　東北工大