工学部 都市工学課程
交通行動分析研究室
安全な交通環境の実現を目指して
交通事故対策は世界共通の課題です。全世界では、一日に交通事故死は3700人(1年間に135万人)発生し、年間に2000万~5000万人が傷害を負っているという統計もあります。日本国内でも、あおり運転や高齢者ドライバーによる事故が広く報道され、交通安全に対する人々の関心も高くなっています。交通計画研究室では、安全な交通社会の構築のために、社会心理学・認知心理学・実験経済学・計算機科学などの知識を活用した交通安全対策の研究を行っています。

学位
博士(工学) 京都大学2001年
略歴
2001年10月 - 2003年 3月 | 京都大学 大学院 工学研究科 土木システム工学専攻 助手 |
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2002年 4月 - 2008年 9月 | 流通科学大学 非常勤講師 |
2003年 4月 - 2007年 3月 | 京都大学 大学院 工学研究科 都市社会工学専攻 助手 |
2007年 4月 - 2010年 3月 | 京都大学 大学院 工学研究科 都市社会工学専攻 助教 |
2010年 4月 - 2011年 3月 | 東北工業大学 工学部 建設システム工学科 准教授 |
2011年 4月 - 2015年 3月 | 東北工業大学 工学部 都市マネジメント学科 准教授 |
2015年 4月 - 現在 | 東北工業大学 工学部 都市マネジメント学科(現・ 都市工学課程) 教授 |
研究分野
交通行動の解析・予測、交通安全
担当科目
- 交通計画
- 数理的計画論
- CE統計解析
- プログラミング入門/演習
研究室所属学生の卒業研修(論文/設計/制作)
- 認知負荷の質的な違いが運転操作等に及ぼす影響
- 狭域におけるWi-Fiパケットセンシングシステムの開発
- データ同化を実装した需要予測シミュレーションシステムの構築
著書
- 土木計画学ハンドブック(共著)、Ⅰ編 3.1.3 シミュレーション手法、2017年、コロナ社
- 情報化時代の都市交通計画(共著)、8.1シミュレーションアプローチと被験者実験アプローチ、8.2シミュレーションの役割と周辺技術、8.4アクティビティシミュレーション、2010年、コロナ社
- 都市観光のマーケティング(共訳)、4章戦略的分析、2007年、多賀出版
論文
下のWEBページをご参照ください。
https://www.jicoojin.com/CEM/in/s/kikuchi/researchpapers/
受賞
研究論文「中学生のためのミラーリング自転車安全教育プログラムの効果測定」が 2018年8月 安全の泉 賞(一般社団法人 交通工学研究会)を受賞。
最近の研究・開発テーマ
自動車運転時の注意制御に関する実験研究
自動車運転時の交通事故原因の多くはドライバーの注意不足です。注意不足というと漫然運転(ぼんやり考え事をしている)や脇見運転から引き起こされる現象と思いがちですが、運転に集中していても注意不足になる場合があります。認知心理学の分野で「課題干渉」という現象がその一つです。本研究では、心理学実験やドライビングシミュレータ実験を通して、どのような運転状況下で注意不足になりやすいのかを明らかにし、注意不足の発生を抑制する方法を検討しています。
狭い領域を対象とした来訪者計測システムの開発
これまで、観光施設内という狭い領域を対象に来訪者の観光行動を把握するためのWi-Fiパケットセンサの開発を行ってきました。これはスマートフォンやタブレットといったWi-Fi通信機器が発信するプローブリクエストと呼ばれる管理パケットを取得し、来訪者の統計値を推定する装置です。本研究ではこのWi-Fiパケットセンサと人や自動車などを個別に識別するAIカメラをシステム化し、信頼性の高い来訪者計測システムの開発を行っています。
自然災害発生時の移動手段を考える教材アプリ開発
災害発生直後の移動(避難)においては、移動者をとりまく状況や遭遇する様々な出来事(二次的災害など)は不確実性が高く、正確に予測することが難しいため、マニュアルや避難訓練といった対策にも限界があります。そこで、平時において様々な状況を想定し、個々の状況に応じた判断の多様性を学習することに主眼をおいた、新しい防災避難教材を開発しています。これまでに石巻市や多賀城市をモデルとしたボードゲーム版が完成しており、現在はアプリ化を進めています。
社会活動
2016年〜現在 仙台市環境影響評価審査会(委員)
2017年〜現在 社会資本整備審議会道路分科会東北地方小委員会(専門委員)
2019年〜現在 仙台市交通政策推進協議会(会長) 他