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※教員の所属・役職及び学生の学部・学科・学年は取材当時のものです。

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WeChatの活用

VOL.035 許 雷(建築学科)

帰省のため、8月に中国へ戻りました。友人などとの連絡は全てWeChat(ウィーチャット)で行いました。WeChatはメッセージングアプリで、友人とチャットをしたり、テレビ通話をしたりすることができます。機能面は基本的に日本で使わっているLINEと同じですが、ウォレット(銭包)など独特の機能があります。財布機能だけではなく、通販、配車、チケット予約など多くのアプリが利用できます(写真1)。
このようなアプリを使わないと、寸歩難行(一歩も動くことが出来ない)ではないかと感じていました。
ここでウォレットに含まれる3つの便利なアプリをご紹介します。

写真1 WaChat付属のアプリ(一部)

 

1.滴滴出行(ディディチューシン)
「滴滴出行」はタクシーなどの配車サービスアプリです。世界初の配車アプリはアメリカのUberではありますが、2016年の「滴滴出行」の配車数は一日2000万件を超えており、Uberを大幅に上回っています。アプリを起動することで、現在位置がスマートフォンに表示され、エリア周辺にあるタクシーの台数が表示されます(写真2-1)。

まず、目的地と出発の時間(現在)を入力し、「呼叫出租車」(配車注文)ボタンを押します(写真2-2)。するとスマホの画面に「配車注文」をお知らせしたタクシーの台数が表示されます。次に、応答したタクシーの台数と注文を受けた運転手さんの苗字や車両ナンバーなどが表示されます。その後、運転手さんから待ち合わせ場所の確認等の電話が来ます。以上で、タクシーに乗れます。
なお到着後はアプリで料金の支払いも可能です。
最近では、若い人がよく「滴滴出行」を利用していますが、スマホが使えない年寄はなかなかタクシーを拾えないという声もよく耳にします。

写真2 配車アプリの使い方 (photo by 王慶新)

2.シェア自転車
上海、北京などの都市に行くと、シェア自転車が多く、びっくりさせられます。特に、地下鉄駅、大学入り口の近辺は最も集中しています(写真3)。シェア自転車サービスを提供する会社も多く、大手としては「摩拜単車」Mobike(モバイク)、そしてOfo(オッフォ)の2社があります。
実際にシェア自転車を利用する際、まずは「摩拜単車」(Mobike)というアプリをクリックします。そしてサドルの下(またはハンドル部分)にある下にあるQRコード(写真3)を読み込むことで、自転車が自動的に解錠されます。また、モバイクのアプリが起動しているため、GPS情報を用いた自転車の利用時間、路線、距離などが表示されます。目的地に到着したら、施錠して自転車を返却することで、利用料金が表示されます。利用料金は通常1時間1元(約16円)になります。乗り捨てができるため、非常に便利だと感じます。
2社とも体験しましたが、基本的に使い方は同じです。オッフォ社の自転車は、走行中のサドルの振動がやや小さいため、乗り心地は少し良いかと思います。
ちなみに上記2社は日本にも進出してきており、モバイク社においては既に札幌市内にサービスを提供しています。私としては、早く仙台にも来てほしいと期待しています。

写真3 モバイク駐輪場とQRコード (photo by 範代読)

3.電子決済
日本では電子決済を利用する人は少ないですが、中国では、殆どのスーパーマーケット、店舗、コンビニエンスストアなどで電子決済ができます。
ウォレットには「収付款」(マネー)というアプリがあります。「収款」はお金の徴収で、「付款」はお金の請求を意味します。このアプリを使うことでマネーの(出入り)管理ができます。
写真4-1に示す飲食店には電子マネーが使えることを表す標識をカウンターにおいています。会計の際に店側が請求金額を入力し、請求用QRコード(写真4-2)をお客様にスキャンしてもらうことで、あっという間に支払いが完了します。そのため現金なしで買い物ができます。
現在、日本では、Apple Payを導入している所が以前より少し多くなっていますが、機能は支払いのみです。また、Apple Payに適用しないスマートフォンが多いため、電子決済がより国内で普及するには時間かかると感じています。

写真4-1 電子マネーが使える飲食店(photo by 範代読)

 

写真4-2 請求用QRコード(photo by 範代読)

まとめ
10月からiPhone8, 11月にはiPhoneXと新しい端末が続々と発売されていますが、正直魅力的ではないと感じています。理由としては、スマートフォンのハードスペックよりはソフト面の躍進が必要と考えるためです。WeChatは提供する通販、チケットなどのサービスアプリは決して新しいものではないものの、全てのスマートフォンに対応できること、そして色々なサービスが簡単に利用できるのはWeChatの強みと言えます。
そのため、電子製品業界を世界的にリードしてきた日本は、これからどのように電子マネー等のサービスアプリソフトに向き合うかをしっかり考えるべきだと思います。

謝辞
今回はWeChatを通して上海の友人王慶新氏、範代読氏にお願いし配車注文やモバイクなどの写真を撮って頂きました。ここに記して感謝を申し上げます。

 

許 雷 准教授

学位:博士(工学)
研究分野:建築設備、環境工学、建築防災

・環境シミュレーションの見える化を目指す
3次元CADを活用し、建築意匠・環境・設備設計を一体化させる研究をしています。建物における風・空気の流れ、火災時の煙の拡大などをシミュレーションし、環境の見える化、建物の省エネルギー性、安全・安心性の向上を目指します。

許研究室

「目」で環境を見る
「感」で環境を知る
「手」で環境を作る

許研究室では、ゼミナールをはじめ卒論・卒計などの研究活動からコンペディションや学会活動など多岐にわたって行っています。
また、学内で行われるオープンキャンパスや国際交流から学外のイベントにも参加し、研究室活動の発信を行いつつ、研究室の餃子パーティを年に数回開き先生や学生の親睦を深めています。

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