東北工業大学

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※教員の所属・役職及び学生の学部・学科・学年は取材当時のものです。

まちを歩く

VOL.011 不破 正仁(建築学科)

仙台に来て、1年が過ぎようとしています。まさにあっという間の1年でした。

長い学生生活を送るうちに、ある時から、大学の教員になることが目標となりました。幸運にも東北工業大学の建築学科に勤めることで、その目標を達成することができました。どれくらいラッキーなことなのかは、この記事に示すとおりです。いまは、学生に楽しく有意義な学びを提供できるか、地域の方々との出会いをいかに楽しむか、そして、これらをいかに研究活動に結び付けるのか、この3点に注力しています。とはいえ、講義の準備や、研究のとりまとめ、ふとしたことから始まった小さなプロジェクトの作業に追われているうちに、1年が過ぎてしまいました。つまり、上記3点を達成できているかどうかはたいへん不透明です(汗)。

そんなわけで、反省の意味も含め、簡単に新任教員の1年を日記風にまとめてみました。

4月:4月1日、辞令交付当日の研究室からの眺めは、感慨深いもので、いつまでも浸っていたいものでした。

(この感動をだれかに伝えたくて、この写真をFacebookに更新しました。)

研究室の窓辺から

すぐに、新学期のオリエンテーションが始まりました。建築学科では1年生WSという教育プログラムが用意されており、ここでは新入生と仙台のまちを歩きました。中旬には、4年生の設計演習の題材探しのためのまち歩きもしました。熱意ある学生が研究室を訪ねてくれ、私を町へ連れ出してくれました。とても楽しかったですし、温かく迎えてくれる学生たちに感激しました。実は、このまち歩きの時に、地域の方との貴重な出会いがありました。

まち歩きのひとコマ

5月:講義とその準備の楽しさを改めて実感しました。前期の担当は、地域空間計画・地域環境計画などです。講義の準備で本や資料をひっくり返している時間は貴重な学びの時間で、有意義でしかありません。とはいえ、少ないコマ数にも関わらず、毎週自転車操業状態でバタバタでした。たくさんの講義を担当している先生方が超人に見えます。

講義資料

大学院の講義では、先のまち歩きの際に出会った歴史的な民家を利用し、実測練習会などの課外授業も行いました。

大学院課外授業のひとコマ

6月:2年生の設計演習の担当が始まり、学生数の多さに戸惑いを感じましたが、担当学生の熱意ある姿勢に感銘を受けつつ、どうにか楽しく過ごせました。なお、ここでは集合住宅の課題を担当しました。

7月:重要文化財洞口家住宅での民家活用ワークショップ開始。と、唐突に書きましたが、東北工大に勤めてわずか3ヶ月で、地域の方と関わりを持ち、新たなプロジェクトを始動することができました。

ワークショップ募集チラシ

これは、4月に記した学生とのまち歩きの際の出会いがきっかけでした。まち歩きの時に、建築学科の学生たちにぜひ仙台平野の魅力を再認識してほしいと思い、農村部に出かけました。そのひとつが名取市の大曲地区の農村部で、そこに現存している茅葺き民家が「洞口家住宅」です。その時は、単に見学目的で出かけたのですが、見学をさせていただいているなかでご当主の方と話が盛り上がり、民家を学びの機会として活用させてもらえることになりました。たとえば、5月に記した大学院講義での民家実測練習会もそのひとつです。そうこうしているうちに、民家の模型制作を手伝わせていただけることになり。洞口家住宅でのワークショップがスタートすることとなったわけです。
このワークショップでは、民家の模型制作と10月に行われる民家活用イベントにむけた準備作業が主な取り組みとなりました。

8月:上旬、前期成績取りまとめに追われつつ、民家模型制作ワークショップの第1回現地調査を行いました。中旬、現地調査のデータをもとに模型制作を開始しました。
下旬、9月の学会での発表準備を行いました。

洞口家住宅での現地調査               模型ワークショップの様子

9月:上旬、学会大会での発表。中旬、模型制作合宿と題し、1週間集中的に作業を行いました。

大学(研究室)での模型制作の様子

夏休み終盤、ある研究の分析作業に取り掛かりました(予定より一ヶ月遅れ(汗))。やはり分析作業に集中している時はワクワクしました。とても地味な作業なのですが、不思議なものです。この楽しさを学生の皆さんにも味わってもらいたい。

9月16日、とても嬉しいことがありました。研究室の発足です(「保全型地域計画研究室」と名付けました)。東北工大では、後期が始まる9月中旬に3年生のゼミ配属が行われます。実は、研究室発足のその日まで、本当に学生は来てくれるのだろうか?という心配を毎日抱えていました。部屋に来てくれた学生たちの顔を見て涙が出そうになるくらい感動しました。(定員制なので、実際には学生が配属されないことはないのですが、、それでも気がかりでした。)
ゼミ風景はこちら→不破研Facebook<https://www.facebook.com/fuwalab/

 

1期生メンバー(ゼミ旅行栞より)

10月:必修講義(都市計画)の準備に追われつつ、中旬に予定されている民家活用イベントに向け準備を進めました。必修講義での学生とのコミュニケーションには難しさを感じました。単位をとりたい・あげたい、でもそれだけではだめで、学びを深めてあげたい、このバランスをどう保つかが課題なのだろうとおもい取り組みました。まだまだこの課題については未解決ですが、それでもどうにか楽しく乗り切れたように思います。

10月18日、模型も完成し、イベントで無事に公開することができました。

模型お披露目の様子

月末、研究室の学生企画で、「芋煮会」を初体験できました!とても良いものだなと感じました。この河原での秋の味覚は、仙台・山形の文化的景観とでもいえましょうか。研究室恒例行事化か?

芋煮準備風景

11月:秋深まるこの季節、ゼミ旅行やワークッショップ打ち上げ旅行など、さまざまな形でまち歩きを実施しました。実は、この時期ある重要な原稿の締め切りに、気持ちが追われ始めました・・・

ゼミ旅行(白石・村田へ)              WS打ち上げ旅行(大内宿へ)

12月:中旬、この冬初めて雪が積もりました。

1月:中旬、大雪の日がありました。ちょうど試験日と重なっていたので休講にならないかドキドキしましたが、大きな乱れなく試験を実施することができました。12月に地下鉄が開通していましたが、その必要性を体感させられる出来事でした。今年は暖冬で雪が少なかったようですが。

自宅前               5号館              八木山動物公園駅前

2月:中旬、卒業研修の最終発表会がありました。建築学科では、卒業論文と卒業制作に分かれて取り組むことになっています。不破研は、1年目なので今年は4年生がいませんでした、そのため発表者はおりませんでした。次年度からはこの時期にバタバタ・ドキドキするのだろうなと予想されます。

卒業研修梗概集           卒論発表会            卒制発表会

2月25日に念願の著書が刊行されました。『関東地方の屋敷林』(中央公論美術出版)
(専門書なので、残念ながら一般書店には並びませんが、、Amazonという手があります。私に勇気を分けていただく意味で、ぜひお買い求めください(笑))

学科HPにも掲載させていただきました。
詳しくはこちら→http://arch-tohtech.net/news/fuwa_book_20160225.html

書籍チラシ                             Amazonから届きました!

後期成績管理作業もひと段落、春休みへ入ります。3年生にとっては試練の季節となるのでしょうか。

3月:合同企業説明会に参加、学生の真剣な眼差しに心打たれました。みなうまく  いってくれるとよいなと、陰ながら応援することしかできませんが。
一方で、一教員としては、同じような熱意を大学院進学にも向けて欲しいなという思いもあります。大学院生活、有意義ですよ!
そして月末、来年度のワークショップに向けての打合せで、いくつかのまちへ出かけました。地域の方との新たな出会いを期待しつつ、、、
ああ、もう4月です。

こんなことでよかったのでしょうか?大学教員としての職務のバランスにすこし不安が残りますが・・・

さて最後に、上記スケジュールの中にもあるように、気がつくとそこには、魅力的な地域がすぐそばにあり、私のような研究者を温かく受け入れてくれる風土がありました。これからも上記3点の達成度をたかめるためにも、仙台・宮城・東北のまちを歩き続けたいと思います。なにより、私の研究の深部である「屋敷林」がいまなお無数に現存していることは嬉しい発見でした。「東北地方の屋敷林」刊行が達成される日を夢見て日々精進してまいります。

建築学科をはじめとする諸先生方、事務職員の方々に支えられながら、東北工大1年目を終えようとしています。まもなく新年度がスタートしますが、来年度も、今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。

不破 正仁 講師

研究分野:地域計画、まちづくり、景観保全、ランドスケープデザイン

不破研究室

地域の自然・歴史・文化を活かしたまちづくりを研究

地域固有の環境デザインを次世代の地域計画にいかすことをテーマとし研究しています。とくに歴史的環境・文化的景観をいかしたまちづくりに力を入れており、地域資源を再発見することを目的に、伝統的な町並みや農村景観の調査を続けています。地域資源を次世代に継承するためのまちづくり、空間デザインを探求したいと考えています。

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