総合教育センター
小川 和久
心理学の理論と方法論を応用して、
より安全な人間社会を構築する
産業社会の事故防止に、心理学の理論や方法論が応用できる可能性は多々あります。安全教育等の機会を通して、人の意識や行動が変容する過程を分析し、安全な人間社会をつくる研究を行っています。

学位
学術修士 大阪大学1998年
略歴
1990年4月 - 2001年3月 | 大阪大学 人間科学部 助手 (大阪大学大学院人間科学研究科助手) |
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2001年4月 - 2008年3月 | 広島国際大学 人間環境学部 助教授(心理科学部准教授) |
2008年4月 - 2020年3月 | 東北工業大学 共通教育センター 教授 |
2020年4月 - 現在 | 東北工業大学 総合教育センター 教授 |
研究分野
主たる研究分野は、産業心理学や交通心理学などの応用心理学ですが、工学、教育学など、隣接領域の研究者と一緒に学際的な研究を行っています。
担当科目
- 産業社会と心理学
- 暮らしと心理学
- 教育心理学
- 職業指導(工業)(商業)
研究室所属学生の卒業研修(論文/設計/制作)
- コーチング技法を用いた運転者教育の効果
- 子どもの危険予測スキルを伸ばす安全教育法の開発と教育効果の測定
- 情動マネジメントのための研修プログラム
研究テーマ
ドライバーの感情特性と運転行動への影響:感情コントロールのための教育プログラム開発を目指して
人の行動はいつも合理的ではなく、感情によって突き動かされている場面がたくさんあります。たとえば、自動車の運転では、イライラ、焦り、怒りなどのネガティブな感情が、速度を上げる、確認が不十分になるなどの不安全な行動を誘発してしまいます。この研究では、一人ひとりが自分の感情傾向を理解し、ネガティブな感情をコントロールできるようなスキルが身につくための教育プログラムを開発しています。また人の感情傾向を測る適性検査ツールも開発しています。
《関連論文等》
小川和久・太田博雄(2009). ドライバーの心理的ストレス反応に関する年齢要因の分析、交通科学、Vol.4(1)、60-68.
Ogawa,K. et al.(2010). Toward the Development of an Educational Program for Better Control of Emotions While Driving, Report, International Association of Traffic and Safety Sciences.
危測予測と危険回避の心理的特性
自己や他者の安全を維持していくためには、おかれた環境の中で、危険(ハザード/リスク)を認知し、事故を回避するための適切な行動(リスクアボイダンス/リスクテイキング)をいかに選択できるかが重要となります。様々なシミュレーション状況下での危険予測/危険回避の学習や、危険箇所マップづくりの教育活動を通して、危険に対する人の意識や行動がどのように変化していくかを調べています。
《関連論文等》
小川和久(2007). 児童を対象とした交通安全教育プログラム「危険箇所マップづくり」の評価研究、IATSS Review, Vol.32(4), 299-308.
小川和久他(1998).トンネル事故の実態とドライバーの主観的危険感、交通心理学研究、Vol.14(1)、13-25.
児童生徒に対する効果的な交通安全教育を普及させるために何が必要か 〜教育普及スキームの構築研究〜
学校安全の一つの大きなテーマ「交通安全」について、児童生徒に対する効果的な安全教育の手法や教材を開発し、普及させていくための社会貢献活動を行っています。現行の安全教育活動の内容や方法を、より効果的にするために、子どもたちが興味関心をもって取り組める魅力ある教育プログラムの開発を行っています。あわせて、このような教育活動を社会に普及させていくための戦略的枠組みについて社会実装の研究を行っています。
《関連論文等》
Ogawa,K.(2020). Behavioral Orientation and Safety Education: In Case of Japan – What is Necessary to Widely Promote Effective Road Safety Education for School Children and Students? 13th ATRANS Annual Conference