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宮城 全学長通信バックナンバー

第28回:学校教育と社会

2015.6.23

 学びによる知識の獲得によって、人間は大きく成長するものですし、知識は人生を豊かにします。さらに歴史を学ぶことは、先人の犯した過ちを繰り返すことを防ぎます。学びや教育の重要性は疑う余地はありません。しかしながら、教育機関で行われる「評価」については、難しい問題ではありますが、考えなければなりません。

 初等中等教育、高等教育の場においては、知識獲得や学びの成果は通常、「試験」によって評価されます。授業についての試験は、教えられたことをしっかり覚えているかどうか、教えられた知識を用いて応用問題を解けるかどうかを確かめるという性質が多いものです。試験が行われる環境は、時間が制限されていること、他人が書いているものを見てはいけないこと、他人に聞いてはいけないこと、本を見てはいけないこと、ましてやキーを押せば多くの情報が得られるインターネットなどを使ってはいけないことなどの制約条件があります。このような条件の下で、通常、生徒・学生の能力評価が行われます。勿論、このような条件の下で高い能力を発揮できる生徒・学生は、卒業後、実社会の環境条件にも対応でき活躍できる人が多いことは確かです。

 学校を卒業し、社会に出たら、毎日が課題を解決する「試験」であると言われています。しかしながら、社会での毎日の試験の環境と日常の境界条件は教育機関で行われているものと大きな違いがあります。課題を解決するためには、制限された試験時間とは異なり、寝る時間や遊ぶ時間を節約すれば時間は増やすことが可能です。人に遠慮なく尋ね、解決の糸口を探ることができます。本やインターネットを駆使して情報を集めることができます。そのことによって、知識を確実にし、得られた知識を活かし、解決することができるのです。社会においては、万遍ない知識よりもある特定な分野だけで十分な場合が多いのです。また、起業する人はある特異な能力・センスは必要ですが、必ずしも幅広い知識を必要とはしません。技術に強い人、開発に強い人、財務に強い人、販売に強い人をそろえればいいのです。自分が不足している能力を補完する人を片腕として雇用すればいいのです。

 このような状況を考えれば、学校における「評価」とは何だろうかと思う時があります。学校で成功すること(成績が良い)と社会で活躍するのとではずいぶん異なるのです。それは万人が認めることです。学校は本当の意味で、基礎的で幅広い知識を得るところ、考える基礎を身につけるところ、困難を克服しようとする力を身につければいいところ、と理解すれば、それでやっと学校と社会がスムースに接続できるのではないかと思います。

 学業試験の点数をひたすら上げることよりも、広い分野から、学生それぞれに合った分野を見つけ出し、その分野の力を伸ばす。そんな学校教育も良いのではないかと思います。

 

                               平成27年6月23日 東北工業大学 学長 宮城光信

 

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最終更新日 2017年12月9日