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宮城 全学長通信バックナンバー

第9回学長通信:Government of the People, by the People, for the People

2013.12.17

 ぽかぽかと陽の照る土曜日の午後のことです。これから地面も凍る冬に入るのを感じ、道路脇の空き地に花の咲くハーブの木を植えていた時でした。近所の知り合いのKさんの奥さんが話しかけてきました。「つい最近、主人が本を出版しました」、ということでした。タイトルは何ですか?と聞きましたら、「Government of the People, by the People, for the Peopleとは何か?」というものでした。私は一瞬、びっくりしました。あまりにも知られている語句だと思ったからです。Kさんはそろそろ80歳に手が届くかなと思われる年代です。15年ほど前に会社を定年退職し、奥さんとよく海外旅行、それもホームステイなど長期間をアメリカやヨーロッパで過ごしていることは知っていました。そのこと自体に興味を持っていました。しかしそれは「その本は10年間位かけて“調査”したものを纏めたものです」という言葉で、単なる観光目的の海外旅行でないことを知りました。同時に、いつも会っているKさんの別の姿を知り、認識を新たにしました。

「Government of the People, by the People, for the People」という語句について、私が覚えていることと言えば、
• 奴隷解放を行ったアメリカの第16代大統領リンカーン
• ゲティスバーグで行った演説
• 民主主義
くらいのもので、後は何も考えないで過ごしてきました。中学生、高校生では受験にさえ役立てばそれで終わり。大学生になってはその連続で、知ったことにする。そして成人となっては、単なる一つの知識として残るのみです。今の今まで、それ以外のことは考えてみたことはありませんでした。

 Kさんからいただいた758頁もの大作を理解することは、私には困難です。私にとって最も興味あることは、Kさんは何故、それほどまでにその語句にこだわり、興味を持ったか、ということでした。そしてそれと同時に、疑問点を解決するために人の知らないところで、黙々と辛抱強く努力している人がいるのだ、ということです。出版した本の帯には、「かの名句」の源泉を求めたフィールドワークの集成とありました。

 知識が本当の知識となるためには、徹底的に自分の頭で考え、納得することが必要でしょう。Kさんの費やした10年間は本当に素晴らしいものだと思います。Kさんとは誰でしょう。Kさんのお孫さんは、是非にと願って東北工業大学に入学し、学び、卒業を間近に迎えようとしている一女学生です。そのことがまた、私の喜びでもあります。

宮城 光信 前学長 学長通信バックナンバー

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最終更新日 2017年12月9日